小学6年生の子供を持つお母さんの話です。
小学6年生になって、急に「中学受験がしてみたい」と言ってきたそうです。
そんなつもりは全くなかったお母さん。
しかし、「本人が望むなら」といくつかの塾へ行ってみた。
いくつかの塾の体験授業を受けてみたあと、お子さんが言ったのは
「やっぱりやめとく」
この一言にお母さんに火がついてしまって
「やるといったからには、そうやすやすと辞めさせてなるものか」と息巻てしまったようです。
こういうエピソードって、他にもいろいろあると思うんです。
サッカー教室に通いだしたから、途中でやめさせたくない。
野球チームに所属している、途中でやめさせたくない。
「途中で投げ出す子供になってほしくない」
「最後までやり通してほしい」
そんな風に誰もが思うんじゃないでしょうか。
私は、「何か違うな」と思ったなら辞めたらいいと言います。
これは決して、壁から逃げとという意味ではありません。
20世紀とは根本的にルールが変わっているからです。
昔は、選択肢がなかった時代です。
正解は一つで、みんな高学歴、大企業への就職を達成すれば成功する。
この一択だったので、余計なことを考える必要などなかった。
21世紀は多様化の時代です。
今大人の人たちが生きた時代とは違い、なんでも検索すれば、何にでもたどり着ける時代です。
選択できるものが無数になる時代です。
だからこそ、自分に合ったものを探す力が必要になります。
これからの時代、今までのような物差しではなく、
「好きかどうか」「夢中になれるかどうか」
これが大きな格差を生み出す時代です。
自分の子どもの頃を思い出してください。
お人形遊びに没頭していた時代
カードゲームに夢中になっていた時代
鬼ごっこに夢中になっていた
特殊なメイクに夢中になっていた
今じゃ考えられないようなことに没頭していた時期ってありませんでしたか?
それを「遊び」「子ども」「若かった」と片付けてしまうのは簡単です。
でも、夢中になっていたことが、仲間との人間関係や人として大切なこと、自分の成長があったことまで否定できるでしょうか。
成長とは、夢中になれる何かに没頭しているときに起こる奇跡です。
傍から見ていれば、「何であんなに頑張れるのか」と思えるようなことを本人はやってのけるんです。
だから子供たちは、今夢中になれるものを探しています。
ピンとくればやってみる、はまれば続けるし、違ったなら辞めます。
何に夢中になるか、アンテナがキャッチするかは人によって違います。
それは、一人一人に備わった「最高の自分像」が違うからです。
野球、サッカー、ゴルフ、読書、お絵かき、作文、歌、ダンス、勉強、他
最高の自分に近づける要素が含まれているものに、人は夢中になれるんです。
特に子供たちのアンテナは、敏感です。
そして、終わりは突然にやってきます。
サッカーに夢中になっていたと思ったら、急に興味がなくなる。
なぜ、興味が変わるのか、
それは「学びたいことを学び終わったから」です。
おなかが減っているときに「何か食べたい」と感じていたのが
食事を終えたら満たされて、「もう食べたくない」となるのと似ています。
他の物を食べたくなるかもしれませんし、ちょっと休憩かもしれない。
運動したくなるのかもしれないし、読書したくなるかもしれない。
自分の成長に必要なものは学び終え、新たな段階に進んだ証です。
こうして、興味あるもの、休みを惜しむほど夢中になれるものを探してあげれば、
ものすごいスピードで吸収し、成長していきます。
これを繰り返すだけでいいのです。
【苦労を乗り越える経験は必要ないの?】
好きなことをやっていればいい、というと
必ず、「苦労はしないといけない」という意見が出てきます。
「苦労の無い人間はだめだ」みたいに言う人もいますね。
これは、好きなことをやらずに生きてきた人がいう言葉ですよ。
好きなことをしていても苦労はあるんです。
なんなら好きなものだからこそ、よりレベルの高い課題に直面します。
それを乗り越えるために取り組む姿勢にも工夫が必要です。
でも好きだから、頑張れるんです。
そんな苦労も楽しみながら取り組めるんです。
どうせやるなら、乗り越えたい壁や課題に取り組んで達成感や成長を感じたいですよね。
僕は、子どもたちにそんな経験をたくさん積んで魅力的な人になってほしい。
そうやって、自分が「なりたい」って思える分野に、夢中になって全力で取り組む経験を積んで、一歩一歩登って行く経験を積んだ人は
全く違う分野で、同じことをやっている人のことをリスペクトできるし、きっと仲良くなれる。
そこに、自分の価値を感じ、人や社会のために、自分ができることを見出せる。
そうやって、最高の自分になっていくのが人だと考えています。
最高の自分が描かれた壮大な人生のパズル
そのピースを集めている最中の子たち、若者
大人も子どもも、あなたの「やりたい」を大切にしていきます。
それではまた。
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